3点セット29,800円の落し穴 あとで絶対に後悔する安物買いは止めるべし!

「スノーボードって意外と高いんだよねぇ」つい最近までこんなことが言われていた。事実、スキーではセット売りの特売が常識だったのに対して、スノーボードはまだまだ定価近くで売れる人気商品だったのである。いわゆるスノーボード業界のバブル期とでも言うべきかなんていう時代。しかし、その状況を見て、どこのメーカーも鼻息荒く、どんどんアメリカやヨーロッパのメーカーから輸入し、ショップへと流通させた。その結果、いわゆるスノーボーダーにとってあんまり魅力的ではないB級、C級ブランド品が多数日本の市場へと登場したのだ。今や様々なブランドが流通し、なかには近隣国の3流(いや、4流~5流かも?)工場で超低コスト品にポコッと、なんかそれっぽいブランド名を貼付けただけのなんちゃってブランド品も、インターネット上で流通するようになっているっていうわけ。「まあ、何でも乗れればいいや」っていう人はそういうものでも間に合ってしまうんだろうけれど、やはりゲレンデでモテたいと思うんだったら、そこは拘るべきところ。スノーボードっていうスポーツはそんなに難しいもんじゃなくて、何となくすぐに滑れるようになって、そうすると誰でも一応サマになっていうスポーツなんだから「初心者だから最初は何でも、、、」って気持ちじゃなくて、それなりに「いいね」が付くモノをゲットして「上達=モテる」に結びつけた方が、お利口さんっていうわけだ。

ここでは怪しいセット商品の話しをしておこう。僕らが買い物をする上において値段が安いものを手に入れるのに越したことはない。しかしながら、結局のところ、怪しいモノに手を出すと後になって後悔することになってしまう。最初は憧れのスノーボードを手にした喜びにそんなことも気付きはしないのだが、怪しい店員の言うままに買わされたようなそのセットは、本物の有名ブランドのスノーボードセットである確率は皆無に近いのだ。 

「あのぉー、初めてボード買うんですけど…」

「そう、予算はどれくらい?」

「うーん、やっぱり安いのがいいんですけど…」

「じゃあ、コレなんかどう? 今セール期間中で3点セットでこんなに安くなってるんだよ」

「これ、初心者でも大丈夫ですか…」

「もちろん、初心者レベルならこれで十分。今年コレで練習して、上手くなったら、いいモノを買えばいいよ。レンタルボード何回か借りると思えばコレを買った方が絶対にお得だよ」

はっきり言って、これが落し穴である。

確かに3点セットで29,800円、いやここ最近では19,800円なんていう値段も珍しくない。この激安感、ユーザーにとっては超魅力的な価格なのかも知れない。しかしながら、それは決して安いと言えるものではなく、本物スノーボーダーからすれば、それくらいの価値しかないヘボセットなのである。

なぜ、ヘボセットなのか? 大体そのセットの内容はこうである。まず、スノーボード。どっかの近隣国の3流工場でテキトーに大量生産されたほとんどクォリティ無視のスノーボードの型をした板きれに過ぎない。おまけに重量が重いものだから、初心者にとって決して使い易いなんてこともなさそううなのである。さらにきっとグラフィックは今の流行に逆行するかのようなダサいデザインであることはまちがいない。まあ、それでもターンは出来ないことはないんだけど。2~3回滑るとエッジが剥がれるなんていうトラブルはあるかもね。

次にバインディング。第一に重い。ただ単に強度を出すためには頑丈に作るべしというポリシーだかなんだか知らないけれど、重たいだけ。それにバインディングのバックルのしめにくさは覚悟しないといけないようなもの。おそらく使い始めてすぐにその煩わしさにイヤ気がさしてしまうことだろう。さらにバインディングの信用性も疑わしい。まあ、基本的なプラスチックの強度も怪しいものがあったりするね。最終的には滑走中にバインディングがいきなり外れて大転倒! スノーボードにおいてバインディングがいきなり外れるっていうことは、かなり危険。その結末は骨折かも知れない…。

最後にブーツ。どこで作られたかわかんないようなヘボブーツ。なかには○◯製なんていうものもあったりするらしく、一体成形で軽いモノもあるらしいが、スノーボードに最も大切なホールド感はあまりなく、ブーツのなかで足が動いたり、何度か使用するとすぐにヘタったりしてくるものが多い。ブーツもスノーボードのギアにおいては非常に乗りやすさを左右する大切なものだ。おまけに防水性が悪く、1日滑った後の足の臭さはきっと人一倍になることだろう。

それでも、どうしてみんなそんなヘボセットを買ってしまうのだろうか?それはやはり、買う側のキミに知識が無さ過ぎるからだろう。スキーの安売りセットの感覚とスノーボードのそれはちょっと違う。スキーは超お買い得セットであっても、そこそこのブランドであることが多い。それにスキーのブランドはわりと一般的にも馴染みのある名前だったりする。しかしながら、スノーボードだと初心者にとってはほとんどが初めて耳にするブランド名ばかり。例えばボードは一応ブランド品でも、ブーツやバインディングは怪しい品、とかね。きっとそのなかに埋もれてしまうと、どれがいいものかも判断できなくなってしまうようなのだ。3点ヘボセットはそんな無知の初心者を格好のターゲットとした商品なのである。

「レンタルボード何回か借りると思えばコレを買った方が絶対にお得だよ」という言葉にも、惑わされてしまうのか?

今や、レンタルボードは湯沢あたりのスキー場が密集しているところなら、1日\2,500ほどで借りられる。だいたい初心者は「本当に自分がスノーボードをできそうかどうか?」に不安があるために、どうしても最初に大金を払っていいモノを買ってしまおうという勇気がでないのかも知れないが、それならば1回レンタルボードを借りて試してみることを薦めるよ。できれば、スノーボードスクールに入るべきだね。そうすれば「自分もスノーボード出来そう。面白いな」って必ず思うはずだから。それからお店にボード一式を買いに行くようにすればいいんだよ。

というわけで、この本を読んだキミは、絶対にそんなヘボセットに手をだしたらいけないよ。そんな用具を持ってゲレンデに現われても、横目でチラリとチェックされて「こいつダサいなぁ」って思われてしまうだけなんだから。そんなモンなんだよ。気をつけて。

「あー、すっきりした。これ、みんなに教えたかったんだよなぁ」